脂質をエネルギーに使える体とは?ファットアダプテーションの考え方

「食べ方に自由を取り戻す」ファットアダプテーションという考え方

こんにちは。姿勢治療家の仲野孝明です。

今回は、「ファットアダプテーション」という考え方について、少し整理してお話ししたいと思います。

言葉だけ聞くと難しそうですが、やっていることの入り口は意外とシンプルです。

簡単に言えば、
“糖だけに頼る体”ではなく、“脂質も使える体”を取り戻していこう
という発想です。


ファットアダプテーションとは何か

人間の体は、主に糖質、脂質、たんぱく質をエネルギーとして使っています。

ただ、現代は食べ物が常に手に入りやすく、1日3食に加えて間食もしやすい時代です。すると、体はどうしても糖を優先して使う回路に偏りやすくなります。

一方で、炭水化物が少ない時間帯や、食べない時間が続いた時には、体は脂肪由来のケトン体を代替エネルギーとして使う方向に切り替わります。こうした代謝の切り替えは、断食や糖質を抑えた食事の文脈でよく語られるもので、医学的にも知られている仕組みです。

つまりファットアダプテーションとは、
脂質をエネルギーとして使う感覚を、もう一度体に思い出させること
とも言えます。


ずっと食べ続ける前提で、体は本当にラクなのか

今の時代は、食べようと思えばいつでも食べられます。
便利ですし、それ自体は悪いことではありません。

でもその一方で、

  • なんとなく空腹が怖い

  • 1食抜くだけで不安になる

  • 食後に眠くなる

  • 間食しないと持たない

  • 体重が落ちにくい

そんな感覚を持つ人が増えているのも事実です。

時間を区切って食べる時間制限食間欠的断食は、短期的には血糖、体重、血圧などの指標改善がみられることがありますが、長期的な影響はまだ整理途上です。つまり、「全員に絶対これが正解」と言えるほど単純ではありません。

だからこそ大事なのは、流行を追うことではなく、
自分の体が何に偏っているのかを見ること
だと僕は思っています。


最初の一歩は「食べない時間」を少し作ること

ファットアダプテーションの入り口としてよく挙がるのが、
食べない時間を少し作ること
です。

たとえば、夜8時に食べ終わったら、翌朝までしばらく何も食べない。
そこからさらに少し空けてみる。

こうした時間があると、体は「次の糖が入ってこないなら、別のエネルギー源を使おう」と動きやすくなります。一般に16時間断食が話題になりやすいですが、実際には6〜8時間の摂食枠や、もっとゆるやかな形もあります。

ここで大事なのは、
いきなり極端にやらないこと
です。

朝を抜いた方が合う人もいれば、逆に朝を食べた方が安定する人もいます。
毎日きっちりではなく、平日だけ少し意識する、というやり方でも十分です。


「脂質を使える体」は、長く動きたい人にとって武器になる

僕がこの考え方に興味を持っている理由の一つは、
長い時間動き続ける競技との相性です。

100kmや100マイルのような長時間の運動では、「糖だけで押し切る」発想だと補給の組み立てがかなりシビアになります。そこに、脂質も使える体という選択肢が加わると、持ち物や補給の考え方が変わる可能性があります。

ただし、ここは誤解しやすいところです。
スポーツ栄養の研究では、低糖質・ケトン食で脂肪酸化が増えることは確認される一方、高強度では運動効率が落ちる場合があることも報告されています。 endurance系で有利に働く場面はあっても、万能ではありません。

つまり、
長くゆっくり動く話と、速く強く動く話は分けて考えた方がいい
ということです。


MCTオイルが注目される理由

この流れの中でよく出てくるのがMCTです。
MCTは中鎖脂肪酸で、一般的な長鎖脂肪酸とは少し代謝のされ方が違い、ケトン体産生を後押しする目的で使われることがあります。レビューでは、MCTがケトン産生を起こしうる一方、量や摂り方によっては胃腸の不快感や下痢などの副作用が出ることも整理されています。

なので、使うとしても少量から、体調を見ながらが基本です。

「これを飲めば痩せる」「これだけで変わる」と捉えるのは雑です。
あくまで、食べ方全体の中の一つの補助だと考えた方がズレません。


ただし、全員が自己流でやっていい話ではない

ここはかなり大事です。

断食や糖質制限は、合う人には合います。
でも、誰でも自己流で安全にできるとは限りません。

特に、

  • 糖尿病で治療中の方

  • インスリンや低血糖を起こしうる薬を使っている方

  • 妊娠中・授乳中の方

  • 摂食障害の既往がある方

こうした方は、自己判断で断食や大きな食事変更をしない方がいいです。NIDDKは、インスリンや一部の糖尿病薬では低血糖リスクがあるため、断食時は薬の調整が必要になることがあると案内しています。Mayo Clinicも、間欠的断食は万人向けではないとしています。ADAも、糖尿病の食事は「一つの正解」ではなく、本人の状態や目標に合わせて決めるべきだとしています。

だから僕は、
流行として真似するより、自分の体を観察しながら試すことの方が大事だと思っています。


僕が面白いと思っているのは「食べ方の自由」が増えること

この考え方の本質は、「糖質は悪い」でも、「1日3食は間違い」でもありません。

そうではなくて、

食べないと動けない体から、食べ方に少し自由がある体へ。

ここに価値があると思っています。

朝を抜いても平気。
昼を少し遅らせても平気。
食べる時はしっかり美味しく食べる。
必要ない時は、無理に詰め込まない。

こういう自由が増えると、
食事に振り回されにくくなります。

そして僕自身、長いレースや日々の集中力の中で、
この「自由度」がどう働くのかを実験している最中です。


お腹が空いたら食べる。その感覚を取り戻す

僕は最近、食に関して一つ大事にしていることがあります。

それは、
「本当にお腹が空いた時に食べる」
という感覚です。

時間だから食べる。
なんとなく目の前にあるから食べる。
疲れたから食べる。
不安だから食べる。

その食べ方が全部悪いわけではありません。
でも、そればかりになると、体の声が分からなくなります。

本当に必要な時に食べる。食べるなら、ちゃんと味わって食べる。
そういう感覚を取り戻すことも、姿勢と同じで、自分の感覚を取り戻す練習なのかもしれません。


まとめ:食べ方を見直すことは、体の自由を増やすこと

ファットアダプテーションは、単なるダイエットの話ではありません。

  • 糖だけに頼らない体

  • 空腹を怖がりすぎない体

  • 長く動ける可能性を持った体

  • 食べ方に自由がある体

そういう方向へ、少しずつ体を寄せていく考え方です。

もちろん、合う合わないはあります。
持病がある方は慎重に進めるべきです。
でも、「1日3食を守れなかったらダメ」「空腹は悪いこと」という思い込みを一度ゆるめるだけでも、見える景色は変わります。

食べ方を見直すことは、
体の使い方を見直すことにつながる。
そして体の使い方を見直すことは、
人生の使い方を見直すことにつながる。

僕はそんなふうに思っています。

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投稿者プロフィール

仲野 孝明
仲野 孝明
姿勢治療家Ⓡ 創設者
【姿勢が変わると、人生が変わる。】
Your Posture makes Your Life.
可能性を最大限に引き出します。

仲野孝明公式ブログにて役立ち健康情報や姿勢が人生にもたらす影響
正しい姿勢があれば何でもできるとモットーに挑戦している事など
アップしています。是非閲覧して頂けると嬉しいです!!

仲野孝明公式ブログ↓↓↓
http://takaakinakano.com/

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