目次
・皮膚は想像以上に強い(鎖帷子みたい)
・硬さの正体は筋肉より筋膜の可能性
・個体差が大きいから「平均の姿勢論」は危険
【アメリカ人体解剖研修】皮膚と筋膜が教えてくれた「壊れにくい体」の作り方|仲野整體 東京青山
姿勢が変わると人生が変わる。こんにちは、姿勢治療家の仲野孝明です。数年前にコロラド州ボルダーに解剖研修をいきました。
なぜ“解剖”まで行ったのか:触れる仕事ほど「本物」が必要になる
整体や姿勢改善の現場は、画像だけでなく触覚で判断する場面が多い世界です。筋肉の硬さ、膜の張り、関節の遊び、組織の厚み…。この「手の精度」を上げるには、やはり実物から学ぶのが最短だと考えています。
日本では、一般の臨床家が自分の手で解剖を行い学ぶ機会はほぼありません。アメリカの解剖学ラボで、献体をお借りし、レクチャーを受けながら実際に学んできました。
ホルマリン固定ではない解剖:関節が動く“フレッシュな学び”
一般的な医学教育の解剖はホルマリン固定が多いのですが、今回はそうではありませんでした。関節が動く状態で学びます。
手も動く、関節も動く。背骨も、体の中心構造として「どう守られているか」が立体的に見えてきます。臨床家にとっては、この“動く前提”で人体を見られる価値が大きい。
そしてもう一つ衝撃だったのは、同じ人間なのに、個体差が想像以上に大きいという事実でした。
皮膚は「鎖帷子」だった:想像より、はるかに強い
まず驚いたのが、皮膚の強さです。
皮膚はただの“薄い膜”ではありません。引っ張りながら丁寧に剥がしていく過程で分かるのは、皮膚が筋肉を守る防具として機能していること。感覚としては、まさに鎖帷子(くさりかたびら)のような丈夫さでした。
ここから何が言えるかというと、体は「壊れやすい設計」ではない。むしろ、相当うまく守られている。壊れるのは、構造の弱さというより、使い方で破綻させているケースが多い、という現実です。
筋膜は「全身ネットワーク」:硬いのは筋肉じゃなく“膜”かもしれない
皮膚の下には、筋肉と皮膚をつなぐような網目状のつながりが広がっています。イメージとしては、体中にネットがかかっているような感じです。
そして重要なのがここ。
臨床でよくある「筋肉が硬いんです」という感覚。実物を見て強く確信したのは、硬さの正体が筋肉そのものではなく、筋肉を包む膜(筋膜)側にあるケースがかなりある、ということです。
筋肉は本来、柔らかい。けれど、その周囲の膜が硬くなれば、触った感覚は“筋ばった硬さ”になります。筋肉を一房ずつ包む様子は、まさにミカンの房のようでした。
「教科書の人体」は平均値:8体見たら8通りだった
今回学びながら何度も思ったのは、人体は設計図どおりに量産される機械ではないということです。
筋肉の太さも、腱のつき方も、膜の厚さも、人によって違う。8体あれば8通り。教科書の図は理解の助けになりますが、現場では「図どおり」を押し付けた瞬間にズレが始まります。
だからこそ、私たちの仕事はその人の体を、その人の人生の結果として読む必要がある。今回の経験で、その解像度が一段上がった感覚があります。
「壊れにくい場所」が壊れる理由:腰は“守られすぎている”
体の中心である背骨、とくに腰まわりは、筋肉の層が厚く、守りが強い。正しく使っている限り、簡単には壊れない構造です。
だから逆に言うと、腰が壊れている人は、相当“壊れる使い方”を積み上げている可能性があります。
座り方・立ち方・歩き方。ここが崩れると、守られているはずの場所にまで無理が通ります。今回の解剖で私は改めて確信しました。
結局、正しい座り方・立ち方には理由がある。
そして、体はそれに応えるだけの構造を持っている。
下腿(すね〜ふくらはぎ外側)の“ファイバー感”:ブレないようにできている
特に印象的だったのが、すねの外側〜前面、ふくらはぎ外側にかけての組織です。柔らかい部分と、驚くほど強靭な部分の差がはっきりしていて、外側・前面は膜というよりファイバーのように分厚い。
アキレス腱が強いのは有名ですが、それを薄く広げたような強さが、下腿全体を“ブレないように”覆っている。ここを見たとき、治療の優先順位や、サポートの考え方がさらにクリアになりました。
手術後の癒着を見て思ったこと:切るのは簡単、戻すのは難しい
お腹の手術痕があるご検体では、内部が癒着しているケースもありました。これは「手術が悪い」という話ではありません。必要な手術はもちろんあります。
ただ、“完成度が高い体”は、一度大きく介入すると、回復過程で別の制限が生まれることがある。だからこそ、私たちができる最大の貢献は、
切らなくて済む体を、日常から作ること(予防)
だと改めて思いました。
喉と呼吸:声帯の小ささと、身体の総合力
最後に見た中で、喉(声帯周辺)もとても興味深かったです。声帯は驚くほど小さい。けれど、その小さな構造が震えて音を作り、呼吸と連動し、姿勢の影響も受ける。
結局、人間の凄さは“パーツ”よりも、全体の連動にあります。姿勢が崩れると、呼吸も、声も、動きも、じわっと落ちる。逆に言えば、姿勢を整えることは人生のパフォーマンス全体を底上げします。
今日からできる「体の声を聞く」1分習慣(最短で変える)
今回の学びを一言にすると、これです。
人はみんな違う。だから、自分の体の声を聞かないとコントロールできない。
難しいことはいりません。まずは毎日1分、次の順番で“確認”してください。
- 足裏:体重がどこに乗っているか(親指側/小指側/かかと)
- 呼吸:吸いやすいか、吐いたときに肩が上がらないか
- 腰:立ったとき腰だけで支えていないか(みぞおち〜骨盤の間が固まっていないか)
- 首・顎:顎に力が入っていないか(奥歯が噛みしめになっていないか)
違和感は敵ではなく、早期警報です。大きく壊れる前に気づければ、軌道修正は小さく済みます。
まとめ:身体を見直す時間は、人生を見直す時間。
アメリカ・ボルダーでの解剖研修は、私の臨床の感覚を確実に更新してくれました。
- 皮膚は想像以上に強く、体は守られている
- 硬さの正体は筋肉ではなく“膜”にあることが多い
- 人体は平均値では語れない(個体差が大きい)
- 壊れにくい構造ほど、壊れるときは“使い方”の問題が濃い
- だからこそ、予防=日常の使い方がすべて
体を丁寧に使うことは、自分の人生を丁寧に扱うことでもあります。
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第146回 l 解剖研修から見る:人間のカラダは、十人十色。
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