【治すだけが目的ではない:臨床レポート】左首から左肩にかけてビキビキッと鋭い痛みを感じた

32歳 男性 会社員(IT系)
2日前、朝起きた時に仰向けからうつ伏せに姿勢を変えようとした時に、左首から左肩にかけてビキっと鋭い痛みが走った。1日経っても痛みが引かなかったので、どうにかしたいと思い来院されました。

【初診  2020年6月】

現在困っている事や日常生活、今までの経歴などについて伺っていきます。

・2日前からの左首から左肩にかけてのビキビキっとした鋭い痛み
・ここ最近下を向いた時にビキビキっと鋭い痛みが出るのでおへそもみれない
・左首から左肩にかけて鈍い痛みは高校生くらいからずっとある
・小学生の時から姿勢が悪いと言われていて、自分でも悪いと思っていた
・座っているとすぐに(20~30分)背中が気になってしまう
・夕方、夜になるとよりしんどい
・頭痛は低気圧の時にによくなる
・枕、ベットはあっていないかも
・テニスをやっていたから右肩が落ちている気がする
・ボイストレーニングに通い始めて(月2回、2年間)、姿勢を意識することが増えて以前よりは姿勢が良くなったと思う
・そろそろ我流でやるのが限界に来たと思った
・治すだけでなく自分で出来るようになりたい
・運動しないともうダメだなと思い始めた
・毎日20~30分くらい走っている
・完全在宅になり仕事はかどるけど、気づくと歩数が2000~3000歩くらいになっている
・立つのは1日1~2時間くらい
・睡眠時間1日6.5~7.5時間くらい

 

≪全身の検査≫
関節の可動範囲は、正しい使い方が出来ていれば正常な可動範囲を保て、間違った使い方が積み重なると可動範囲に異常が生じます。関節の可動範囲には、からだの使い方の歴史が現れます。
今まで生活の中で、どのような身体の使い方が得意だったのか、また苦手だったのかチェックする為に、関節の可動範囲を検査していきます。

〈頸部〉
後屈
右60度/90度
左70度/90度

〈腰部〉
後屈   ROM↓

側屈
右ー
左ROM↓

kemp
右ROM↓↓(左PSISに痛み)
左ROM↓   (右PSISに痛み)

〈股関節〉
SLR
右75度/90度
左80度/90度

Patrick
右80度/90度
左80度/90度

かかえこみ
右内側ROM↓
左内側ROM↓

〈足部〉
リスフラン
右ROM↓
左ー

関節の可動域の検査で動きづらい部分が分かりました。

・頚部の右向く動作
・腰部の右後方に倒す動作
・脚を真っすぐに上げる動作

特に顕著だったのが、左首から肩甲骨にかけての組織(僧帽筋、肩甲挙筋、上後鋸筋)が動きづらくなっていて、動作を制限していました。

≪カラダの使い方≫
関節の検査をもとに、普段のカラダの使い方をチェックしていきます。
カラダを悪くしてしまった原因がここにあります。

①頬杖つく時は必ず左手
左肩甲骨のポジションが悪くなっていました。どのように使っていたか伺うと、机に座っている時はよく頬杖をついていたそうですが、その時は必ず左手で支えていたそうです。
右肩が下がっている感覚をお持ちでしたが、左肩が上がっている為に相対的に感じられていました。

②小学生の頃から悪かった座り方
座っている時に左後ろに骨盤を傾けている癖がありました。小学生の頃から「姿勢が悪い」と周囲から言われていたそうです。「硬いな」と感じて、左股関節を触るような癖は高校生の頃からあり、10代のうちにカラダの組織を硬くしてしまう使い方が作られてしまったそうです。

③使っている寝具
朝起きた時に左首のハリを感じていました。寝ている所は低反発の素材を使い、枕は頭を持ち上げるような高さのある物を使っていたので、カラダの歪みを調整する寝返りがしづらい環境になっていました。

④サブモニターの見方
IT系のお仕事で、デュアルモニターをお使いでした。サブモニターを見る時は顔だけ向けるようなカラダの使い方で、常に左首に負担がかかっていた。

≪結果≫
下を向いた時の左頸部から肩甲骨にかけての痛みは消失
より正しい使い方を身に着ける為に集中治療進行中

〈集中治療〉

1回目
股関節周囲の軟部組織治療
座り方、サブモニターを見る時のカラダの動かし方、立つ時間の導入の指導
股関節ストレッチ、殿筋ストレッチ

2回目
左肩は高校生の時から気になっていた
下を向く時に左首から肩甲骨にかけてビキっとする
股関節周囲、左頸部肩甲骨間の軟部組織治療
肩のポジション、キーボードの位置の指導
肩甲骨下制トレーニング、ブレーシング

3回目
日中の首の痛みは気にならなくなってきた
朝起きた時が左首にハリを感じる
股関節は時間かかりそうな感じがするけどじっくりやっていきます
高校生の頃には股関節を触る癖がついていた
股関節周囲、左頸部肩甲骨間の軟部組織治療
寝具の指導
肩甲骨下制内転トレーニング、ヒップヒンジ

【臨床を振り返って 2020 7月現在】
「姿勢を変えたい」と強く思われていました。
歌を始めるなどして日頃から姿勢を良くしようと意識されてはいましたが、小さい頃から「姿勢が悪いよ」と言われていた歴史もあり、意識だけでは難しいカラダになっていました。
普段から「どうすれば姿勢を良くできるのかな?」と疑問に思われて、カラダをコントロールする難しさを感じられていたと思います。
その分、カラダを姿勢から治そう!治すだけじゃなくカラダをもっと良くしたい!と気持ちの準備が整っていました。

日々の臨床で感じることですが、「このカラダしかないんだ」など自分ごとになっている方は着実に変化されています。

・自分で姿勢をよく出来るようになりたい
・そろそろ運動しないとダメだ

我流で姿勢を治すことに限界を感じられていましたが、この2つの気持ちが整っていたので、今後の変化がとても楽しみです。
より正しいカラダの使い方で日々を楽しめるよう、引き続き伴走していきます^^

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投稿者プロフィール

浅川修一郎
浅川修一郎
資格:
はり師/ きゅう師/あん摩マッサージ指圧師/ARTプロバイダー

趣味:
フットサル/ランニング/サーフィン(今後の趣味にしていきたい)

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